改善基準告示が改正されます

改善基準告示が改正されます

働き方改革関連法に基づき、運送業では2024年4月から改正された改善基準告示が施行となります。これがいわゆる2024年問題というものですね。今回は改正される改善基準告示の内容を紹介していきます。

※なお、改善基準告示は既に労使では合意済みなものの2022年12月に改正される「予定」となっているため、現時点ではまだ本決まりではありません。本記事ではこういう風に変わる【見込み】となっている資料を記事内で取り上げています。

そもそも改善基準告示って何?

【改善基準】とは、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(大臣告示)のことを言い、自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため拘束時間、休息時間等の基準を定めているものです。『厚生労働省HPより抜粋』

【告示】とは、国や地方公共団体などの公の機関が、必要な事項を公示する行為又はその行為の形式をいう。『Wikipediaより抜粋』

ざっくり言うと、国が定めた自動車運転従事者の労働に関するルールを公開してるのでみんな守ってね、ということです。

改善基準告示 改正の背景

働き方改革関連法でそう決まったから、と言ってしまうとそれまでなのですが、厚労省の資料を見ると以下のような事実が指摘されています。

・過労死等の労災補償状況 道路貨物運送業が最も多いという調査結果が出ています。

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・トラック等運転手の脳・心臓疾患事案について 脳・心臓疾患については時間外労働以外の要因で見ると、拘束時間が長いことに起因するものが多い

改善基準告示の現行と改正案

前章で触れたドライバーの健康問題が懸案となっており、改善基準の変更点に関して以下のような資料が出ています。詳細は下記の厚労省の資料にて現行との対比でまとまってるのでご確認ください。※なお、記事執筆時点(2022/11)では、あくまで【案】として表現されている点にご注意ください。

改善基準告示の見直しの方向性について(トラック)|厚生労働省 労働基準局 監督課

変更案が出ているのが以下の7項目です。

  • 一か月の拘束時間
  • 一日の拘束時間
  • 一日の休息期間
  • 運転時間、連続運転時間
  • 分割休息(特例)
  • 二人常務(特例)
  • 隔日勤務、フェリー(特例)

特筆すべき点として「事故渋滞」に遭遇した時の{1日の拘束時間、2日平均の運転時間、連続運転時間}の規制は渋滞にはまった時間を除くことが改正案として掲出されています。(上記厚労省の資料の「予期しえない事象」の頁参照。他にも天災などの事由によるものを含む) 渋滞時間をどのように割り出すかは争点になりそうなポイントではあります。

改善基準違反の実態

厚労省が発表している令和3年の自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況は以下のようでした。これを見ることで、改善基準告示のうち守られていないものの傾向が見えてきます。

自動車運転者を使用する事業場に対する令和3年の監督指導、送検等の状況を公表します|厚生労働省 より

違反事業所の中では項目として最大拘束時間、次いで総拘束時間の違反が多かったようです。令和2年のデータも見ましたが、同じような違反項目の分布となっておりました。このことから運送会社にとってのボトルネックとなっている部分が見えてくる気がします。

また、1日の労働時間のカウントの仕方もポイントで、ドライバーの場合は出勤した時刻から24時間が1日の拘束時間の対象となっております。つまり前日の出勤時刻から24時間経過していない翌日に出勤してしまうと、前日の出勤時間から24時間経過までの時間については、前日分の拘束時間としてカウントされてしまい、さらに当日の出勤時間から当日分の拘束時間として二重にカウントされてしまうのが注意が必要です。

改善基準、違反するとどうなる?!

2018年より乗務時間等告示順守違反において、罰則が厳しくなっています。

事項初回違反再違反
各事項の未遵守計5件以下警告10日車
各事項の未遵守計6件以上15件以下10日車20日車
各事項の未遵守計16件以上(注2)20日車40日車
上記と別立てで追加となる違反分
各事項の未遵守1件10日車20日車
各事項の未遵守2件以上20日車40日車
貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について|厚生労働省 より

2024年問題対策として…

以前に、以下のような記事を公開しました。こちらも合わせてご覧いただければ幸いです。

今回の記事では改善基準告示の改正【見込み】としての情報をお伝えするにとどまりましたので、正式に改正されたのち改めて記事として取り上げていきます。
※正式に改善基準告示の改正内容が出たので下記記事で解説しております。合わせてご覧ください。

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